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安定型愛着とは?
安定型愛着は、愛着理論における愛着スタイルの一つです。子どもが養育者と離れても過度な苦痛を感じず、感情が比較的安定し、関係の中で安心感を得られる状態を指します。
この愛着スタイルの子どもは、養育者がそばにいないと緊張したり、不安になったりします。
しかし養育者が戻れば、気持ちは落ち着きを取り戻し、再び周囲を探索できます。
良い関係は人に安心感をもたらすことを、心の中で知っているからです。
他者は信頼でき、自分は愛されるに値すると理解しています。
安定型愛着の人にははっきりとした安心感があり、一つの関係を失ったからといって、自分を価値のない人だと評価しません。
一人でいるときも自分の生活を持ち、自分自身と穏やかに過ごせます。困ったときには他者に助けを求められることも知っています。
人と関係を築くときには、そこから得られる喜び、親密さ、満足感を楽しめます。
自分が安定型愛着か気になりますか? 愛着理論テストで確かめてみましょう。
安定型愛着はどのように育つのか
安定型愛着は、子どもに十分に良い母親(good enough mother)/養育者がいることから生まれます。
つまり養育者が子どものニーズを理解して満たし、その気持ちを表現する手助けをすることで、子ども自身が自分の感情を理解する機会を得られるということです。
たとえば子どもが泣いているとき、なぜ泣いているのかを考え、なだめてから「もう大丈夫」と声をかける親を目にすることがあります。
養育者が毎回正しく理由を当てられるとは限りません。それでもこの過程で子どもは十分な慰めを受け、制御しにくい感情をゆっくり落ち着かせる時間を養育者とともに過ごせます。
「自分をよくわかってくれる人がいて、ちょうどよく世話をしてくれる」という感覚は、子どもに安定と安心をもたらします。
このとき子どもは養育者を、風雨をしのげる港のような安全基地(secure base)と見なします。
何かが起きても、「安全な場所がある」「自分を受け入れてくれる人がいる」と心の中でわかっています。
子どもが大人になった後も、ストレスに出会って感情に押しつぶされることはありません。
誰かがそばにいてくれ、感情が最後には安定して穏やかになるという感覚を、心に覚えています。
このような、ほどよいケアが安定型愛着の基盤です。
安定型愛着の5つの特徴
自己概念(self-concept)が肯定的
自己概念とは、自分自身に対する態度や考え、つまり自分をどのような人だと思っているかを指します。
成長の過程で子どもは、養育者から受ける扱いや態度をもとに、自分がどのような人間なのかを考えます。
「こんなふうに扱われるなら、自分はこういう人なのだろう」と、他者の振る舞いを説明しようとします。
たとえば、叩いたり叱ったりする教育を行い、いつも大声で子どもを責め、できていないところを指摘する養育者もいます。
子どもは自分が叩かれることを合理化するために、「自分がひどい子だから、親はこうするのだ」という認知のゆがみ(cognitive distortions)を抱くことがあります。
反対に、親が子どもにとっての安全基地となり、養育者が自分を理解し大切にしてくれる存在になれば。
子どもはこのような考えを抱きにくくなり、自分をより中立的に、さらには肯定的に見られるようになります。
感情が安定している
安定型愛着の人は心理的レジリエンス(resilience)が比較的高く、ストレスへの対処法も優れているため、感情の安定を保ちやすい傾向があります。
レジリエンスとは、課題や脅威に直面したときに自分を調整し、適応して、普段の状態へ回復する力を指します。
課題や脅威に直面すれば、もちろん感情は揺れ、つらさ、不快感、挫折を感じることもあります。
それでも、よりよい方法をとって元の状態に早く戻りやすく、挫折の中にも前向きな意味を見いだしやすいのです。
たとえば挫折したとき、同じ出来事を別の角度から考え直し、否定的な感情に沈み続けません。
また、過程で他者の助けを求めることで、人とのつながりも築きます。
こうしたよい方法によって、挫折の後にはむしろ力を得られ、次回はより早く平静を取り戻せるため、感情もいっそう安定して見えます。
新しいことに挑戦する意欲がある
安定型愛着の人は感情が比較的安定し、困難に出会うと助けを探します。これは新しい挑戦に向き合ううえでとても重要です。
困ったときには、どう解決すればよいか、誰に支えてもらえるかを知っています。
また、自分の挫折やつらい感情を整理するために、十分な時間と空間を与えられます。
そのため自分の状態をより安定させ、整え直してから新しい挑戦へより早く踏み出せます。
彼らにとって一つひとつの挑戦は試みであり、失敗してもまた次に試せばよいのです。
だから未知の新しい挑戦を前にしても、心配や不安を感じにくく、好奇心を持って探求できます。
思いやりがあり、他者の気持ちに共感できる
安定型愛着の人の多くは、丁寧に理解してもらった経験があります。そのため理解される感覚をよく知り、生活の中でこの力を活かせます。
最初は養育者が一方的に気持ちを推し量り、やがて本人も養育者の気持ちを推し量ろうとします。これが共感の始まりです。
他者の考えや感情を大切にし、向社会的行動(prosocial behavior)も多いため、思いやりや細やかな気遣いが周囲に伝わります。
人と安定した関係を築ける
安定型愛着の人は、関係の中で他者と安定して関わり、一時的に離れていても自分が関係の中で安全だと感じられます。
関係にある程度の信頼と安心感を持ち、相手とちょうどよい距離を保てます。べったりしすぎず、凧のように手元から見えなくなることもありません。
そのため関係の状態は通常とても安定しており、関係を丁寧に育み維持しながら、人と過ごす喜びも味わえます。
もし関係をいい加減に扱う人に出会っても、何かがおかしいと気づき、早めに離れられます。
子どもに安定型愛着を育むには
十分に良いケア
十分に良いとは、満点を目指す必要はなく、子どもが助けを必要とする多くの場面で、すぐに応答できればよいということです。
すぐに応答するとは、子どもの立場から生まれる感情に共感し、問題を分かち合い、どう解決するかを一緒に考えることなどです。
子どもの個性を受け入れ、自分の感情や気持ちは理解してもらえるのだと伝えましょう。
こうした感情面のケアは、子どもとのよい、前向きなつながりを築けます。
また、誰かがそばにいる中で、自分の感情を調整し、コントロールすることを学べます。
丁寧に世話をしてもらった経験と安定した感情が、安定型愛着を築く第一歩です。
身体的・言葉による親密さと支え
身体的な触れ合いは本能的なニーズであり、子どもに愛され、世話をされている感覚を与えます。
一つのハグや、道で手をつないで歩く、そばにもたれて物語を聞くといったささやかな触れ合いも、愛され、気にかけてもらっている感覚をもたらします。
子どもを褒め、励ますことは、言葉を通じて支えと親密さを与える方法です。
子どもの長所をもっと見つけることで、子どもと過ごす前向きな経験を積み、自分への自信も育てられます。
こうした愛されるやりとりは、子どもが大切にされ、丁寧に扱われるに値することを知る、よい関係の経験になります。
養育者どうしで子育ての方針を共有する
養育者にはそれぞれ異なるスタイルがあり、権威的な人もいれば、より民主的な人もいます。
しかし、子どもにルールや境界がどこにあるか、何をしてよく、何をしてはいけないかを理解させることは、どのような場合でもとても重要です。
子育てに共通認識がないと、子どもは何に従えばよいのかわからず、戸惑います。
そのとき子どもは、結局ルールが何なのかを推測することに多くの力を使わなければなりません。
その結果、うまくできないことや、いつ大人を怒らせるかわからないことを常に心配し、過度に不安になる可能性があります。
あるいは、どうすればよいかわからないため、いっそ何も気にしないようにするという過度な回避につながることもあります。
だからこそ、安定感と一貫した子育てを子どもに感じさせることは、関係の中で安心感を持たせるうえで非常に重要です。
養育者が心の健康を保つ
養育者の状態がよくないと、子どもに十分な忍耐を向けにくく、世話の過程で挫折や無力感を抱きやすくなります。
こうした感覚はケアの質に影響するだけでなく、子どもの不安定な状態に直面したとき、子どもに対して感情を爆発させやすくなります(大声で怒鳴ったり、けがをさせるほどの体罰に至ったりすることなど)。
気分がすぐれないと、物事の見方にも影響し、注意が悪いことばかりに向きます。
たとえば、子どもには欠点が多い、何をしてもできない、何百回言っても直さない、と感じることです。
自分自身の感情を大切にしてこそ、より安定した形で子どもと関わり、子どもの状態やよいところを見る余裕が生まれます。
よいところが見えるようになれば、子どもを褒めたり励ましたりすることも、自然で負担の少ないものになります。
私は安定型愛着になれる?
愛着スタイルは、人生の早い時期に環境の影響を受け、その後の対人関係のあり方に長く影響します。
それでも私たちは努力を重ねることで、関係の中の安心感を少しずつ取り戻せます。
前向きな関係の経験をつくる
前向きな経験を積み重ねることは、普段の安心と安定の感覚を保つ助けになります。
同時に、自分は丁寧に扱われることができ、幸せな関係に値することも思い出させてくれます。
こうしたよい経験は、困難に出会ったときや関係が終わったとき、心を支える力になります。
この感覚を携えることで、目の前の悲しみを手放し、満足感を得られる別の関係を求めていけます。
一つの関係を失っても、他の人すべてに見捨てられるわけではありません。私たちには新しい関係を求める力が残っています。
健やかな関係の経験は、関係の中でも内面の安定を保つ安心感を心に見つける助けになります。
過去の前向きな関係は心の栄養となり、人との関わりを育む力になります。
有害な関係(toxic relationship)を拒む
有害な関係は、私たちに常にストレスやつらさを感じさせます。
たとえば相手がいつも自分を批判し叱責する、さらにはガスライティング(gaslighting)や、感情的な脅し(emotional blackmail)を行う、といったことです。
否定的なやりとりに満ちた関係は毒のように私たちを苦しめ、心身の状態をむしばみます。
健やかな関係とは、互いに支え合い、尊重し、理解し合える関係です。
ときには言い争いがあっても、なお関わりの中に満足感と喜びを得られます。
不安定型愛着の人は、心の不安から、有害な関係で何かを差し出すことを当然だと思ってしまうことがあります。
けれども、誰もが愛されるに値し、対等に扱われるべきです。
自分が有害な関係にいると気づいたら、その関係で苦しんでいる自分をいたわり、守ることが、安心感を取り戻す大切な一歩になります。
助けを求める
ときには苦しい関係の中で、できることはすべてしたのに変えるのが難しく、同じ状況を堂々巡りしていると感じることがあります。
そんなときは心理士に相談し、関係の中で繰り返すパターンを見つけてもらうことで、その循環を断ち切る助けになります。
カウンセリングの過程では、関わり方の盲点に気づき、感情面の支えも得られます。
変化はいつも簡単ではありません。助けを求め、自分に寄り添いながら、失った安心感を少しずつ取り戻していきましょう。
Mindy 臨床心理学修士。臨床心理士資格(心理字第2802号)を保有。病院の精神科および児童精神科で実習し、心理力動的心理療法、サイコドラマ、認知行動療法を専門とする。心理学の知識普及に取り組み、心理学コンテンツの顧問とメンタルヘルス講座の講師を務める。